八ヶ岳連峰最南端の展望台 編笠山(標高2524b) 

 

 

日程 20011124日 (土) 快晴  

2008/11/29雪景色

 

八ヶ岳の最南端に位置する編笠山、最北端は蓼科山で、二座ともスマートな形をしている、蓼科山は「諏訪富士」と呼ばれ親しみが有り、編笠山は八ケ岳の展望台で親しまれている、山容は笠のようなコニーデ火山、山頂に近づくに従い、岩は赤みをおびている岩に娘が気付く。不思議な事に蓼科山も山頂は編笠山以上に広い岩の公園になっている、展望は編笠山の方が一級上だと思う。

コース

4:00観音平(標高1570メートル)635−(1:00)−>雲海展望台(標高1877b)7:32−(0:50)−>押手川分岐8:20−(1:20)−>10:00編笠山1030−(0:20)−>11:20青年小屋11:40−(0:50)−>押手川分岐12:50−(0:40)−>雲海展望台13:20−(0:45)−>1415観音平

<アドバイス> 押手川の分岐:編笠山に登るには青年小屋コースを経由しないで直登コースが良い、展望は朝のうち、青年小屋経由から編笠山山頂は巨岩を登ることになる、積雪は北側が深い。

中央高速小淵沢ICを降り右折、八ケ岳高原ライン、5,6分で観音台入口に着く、道路の両脇はカラマツの落ち葉で埋まっている。水場:延命水(観音平から500b手前、美味しい八ヶ岳の天然水)で水をくみ観音平へ、すでに駐車場には5,6台の車が停まっている、全ての車はエンジンが切られ静かだ、私たちも毛布をかぶり静かに、登山者の世界に入り込む。

ここは星の観測地点、空だけが生きている感じがする。先週は「しし座流星群」で大騒ぎをした観音平だが今週は静かだ、しかし星空は無数の星、娘と二人で流れ星を見てから仮眠しようと言った直後、数秒間、次々と奇麗な流れ星が飛来する、人間は欲張り、期待し寒い中しばらく夜空を眺めるが、大きな流れ星はそっれきり現れなくなった。

空の星が見えなくなると夜明けは近い、11月下旬の気温とはいえ、ここは標高1570bで寒い、コートを身に着け東斜面の展望台(南側は南アルプスの展望に良い)へ、富士山が浮かび上がっている、この時期、日の出は金峰山の後ろからだ、南アルプス主峰北岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山がうっすらと赤みをおび、一番高い峰が最初に輝き出す、そう北岳が一番先に輝く。


南アルプスの主峰

この展望台にヒカリゴケの案内番がある、何時が見頃なのかな?

暖かいスープを飲んで待つが、6時を過ぎても太陽は昇ってこない、日の出直前が一番寒い、歩くと暖かくなるからと娘は言いながら準備、駐車場の右からカラマツ林に入る、足もとには笹が多いけど、露で濡れてはいない、徐々に明るさが増し、日の出は近い。グリーンロッジの分岐を過ぎ、ゆるやかに登って行く。

三ッ頭から延びる稜線に【日の出の演出】が始まる、早朝の太陽の光は美しい、その叫びに自然は目を覚ます、そして富士山は薄赤色に輝く、静かな夜明けだ、私達の足音以外は聞こえない、風も無く静寂の夜明けだ。

樹林帯で展望はあまり良くないが、木の枝に当る朝日は周囲を暖かくしてくれる、晩秋、木々の間から南アルプスの主峰はクッキリと見え、そして朝のドラマを終えた富士山は裾野を大きく広げてクッリ見えている。

このような美しい富士山を眺めるのは久しぶり、標高日本第二位の主峰北岳も同時にみえるのだからたまらない、ここまで登って来ないと得られない雄大な絵巻です、そして今日はこの後下山まで富士山と南アルプスを見ながらの優雅な登山になったことは言うまでも無い、娘はポツリ「この光景を見ない人は不幸だね!」と、確かにチャンスが無いとこの地に今立つ事は無い。


夜明けの富士山

登山道は思っていたよりなだらかで、大きな石が幾つも現れ、15分ほど登ると富士山を展望するポイントに出る、思わず私達は、足を止め、腰を下ろし、息をのむような美しさに見とれ釘付けになってしまう。

風も無く上空は真っ青だ、再び樹林帯の中へ、2人の青年が元気良く追い越して行く、権現岳まで行くという、私達の今日の目的は「美しい富士山を見る」ので、編笠山山頂でその後のことは決めればよい、既に目的の半分以上は達したかも知れない、でも私達は欲張りである。

期待の高まる雲海展望台になかなか着かない、ご夫婦が急いで抜いて行く、先行の青年が休憩している、雲海展望台。

ベンチがある、ベンチに腰を下ろす位置は松が邪魔をしているから富士山は見えない、ベンチが作られたときは真正面に富士山が見えたことだろう、ちょっと体をずらすとススキの間に美しい富士山が見え、木の根に腰を下ろすと良い、ここでも腰を下ろし、しばらく見とれる、カメラマンならここに足を縛られ一日中動かなくなるだろう、観音平に比べ数階級上の展望である。

やっと登山道らしく傾斜がきつくなって、大きな石がゴロゴロした涸れた沢のような道を登る、笹が無くなって、カラマツ林がシラビソ林に変わっている。ようやく押手川分岐、「水を求め、手で地面を押したら水が湧き出た」という伝説、大きなシャクナゲの木が印象的、静かなオアシスといった感じ。

押手川分岐は、編笠山山頂直登コースと青年小屋経由で山頂へのコースとの分岐、5分で展望台行きのコースもある、展望台方向に行こうとするが道が明瞭ではない、でも矢印の方向に数分行くとガレ場にでる、シャクナゲが多いところで、富士山が周りの山々を従え、左右均等に長い裾野を広げ見事、充分満悦。ここの富士山の姿は今回のルート中で一番均整のとれたものだ

押手川分岐に戻り、急な坂を登って行く、大きな岩をよじ登る、時々木々が切れ展望がきく、南アルプスの主役は北岳の雄姿だ、ここまで登って眺めると普段目立つ甲斐駒ケ岳が脇役になっている、駒ケ岳の後ろには仙丈岳も大きく見えてきた、しかし、なんといっても富士山、こちらが高くなればなるほど高くなる。

今度は左側の展望が広がる、中央アルプスの木曽駒ケ岳が見える、薄く雪をかぶっている、凄い急斜面で岩に手をかけ登って行く、一番キツイところだ、それだけに景色の美しさは素晴らしい。

頭上で人の声が聞こえる、山頂は近いらしい、娘は元気よく登って行く、一個目のピークで山頂ではない、大きな荷物を背負った男性1人+女性3人、ヒマさえあれば山に登っていると言う、やっと森林限界、背の低い松の間を登る、登ると言うよりよじ登る感じだ。

一人の若い女性が座り込んでいる、心配そうな同行者、でも二人ともこの展望で笑顔。展望が大きなエネルギー源、みんな次々と「オー」、「スゲ―」とか叫んでいる。

やがて岩だらけの斜面に着く、展望が大きく開ける、素晴らしい展望に息を飲み尽くす。中央アルプスの木曽駒ケ岳が薄く雪化粧、他の山を代表している。その後ろに御嶽山が大きな姿を現す、岩だらけの斜面に着く、編笠山山頂上はすぐ上だがあまりもの美しい展望で腰を下ろしてしまう、富士山をさえぎるものは何も無い。

今日は、年に一度あるかどうかの快晴だ、金峰山も頑張っている、瑞牆山も並んでいる、ニセ八ツの茅ゲ岳も実に美しい。南アルプスの北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈岳、鳳凰三山の群れもすごい。

ようやく編笠山山頂に飛出る、山頂は岩がゴロゴロしている、展望は360度パノラマで思わず息をのむ、左から阿弥陀岳(標高2805b)、赤岳(標高2899b)、一番近いのが権現岳(標高2715b)と主峰が競い合う。

この阿弥陀岳と赤岳を結ぶラインが見事な美景を見せる。普通の山なら記念写真は一枚ですむが360度、しかもどちらを背にしても明峰とあって何枚も写さねばならない。

阿弥陀岳よりずっと左奥の最北の蓼科山(標高2530b)は「諏訪富士」にふさわしい優しい姿で存在感を示し、八ケ岳の最北(蓼科山)と最南(編笠山)の二山とも岩に覆われた山頂で不思議なきがする。

北アルプスの主峰白馬岳、槍ヶ岳、穂高連峰、そして乗鞍岳(すごく雄大)、その奥に白い姿の白山が見えている。

中央アルプスの主峰木曽駒ケ岳、空木岳、大きな御嶽山(大きな山の中腹以上が「ちぎられ」た様な感じ)そして霧ヶ峰(車山)、そのすぐ奥に美ヶ原、そして霧ヶ峰の左に諏訪湖が輝く、立派な守屋山も見える。

そして入笠山、釜無山と続き鋸岳を経て甲斐駒ケ岳に至る稜線も美しい、諏訪湖から甲府まで甲府盆地が広がり立体地図を見ているようだ、大きな地震で諏訪湖が氾濫したら盆地は?何て考えてしまう、高ボッチの高原も望み、高ボッチ山から八ケ岳と南アルプスを両側に従えての富士山の姿も目に浮かぶ。

良く見ると北岳の奥に幾つかの峰々が覗く、間ノ岳だろう、富士山の周りを囲む山々は、ハッキリとは解らないが右側の雲海に浮かぶ高い大きな山群は毛無山、長者ヶ岳。

展望は、娘も登った赤岳山頂からの眺めよりこちらの方が良いかもしれない、編笠山は100名山では無いから団体登山は少ないと聞く。11月末の気候、ここは標高2500b以上は真冬で寒い、娘のサンドイッチを食べながら、展望を充分に楽しむ。

360度の展望を惜しみながら、シャクナゲの多い北側の斜面を下る、足もとには雪が薄く積もって歩き難い、巨岩を渡りながら下る、岩には明確な足跡は残らない、従って赤のペンキ印を探しながら下ることが大切、途中、表面が平らな大岩の上で昼寝を楽しむ、暖かい日差しが身体を暖めてくれる、山頂にまだ大勢残っていたがまだ降りてこないのでノンビリできました。

先行して権現岳に向う男女4人のグループがまだ青年小屋で昼食中、これからギボシ、権現岳、三ッ頭経由で観音平に下ると言う。

青年小屋の玄関先から眺める富士山も美しい、見上げると権現小屋が見え権現岳が美しい。青年小屋は114日から来春まで閉められていました、編笠山と権現岳の鞍部にあり明るき気持ちの良いところです、地名は乙女平

青年小屋から押手川分岐までのルートは編笠山の「巻き道」と呼ばれている、私達はここを下ることにする、編笠山山で出遭った地元の男性「編笠山から権現岳まで57分」とのこと、そして「編笠山登山ルートは下山に巻き道を下るのが正解」と言い残して、身軽にささっと下っていってしまう。

親子4人(ご夫婦と女の子2人:小学生)が登ってくる、青年小屋から編笠山山頂に行くという、今なら時間的に余裕はある、続いて4人組(年配者の男女4人)小屋までというので、「今日の編笠山からの展望はめったにない良い眺めですよ」と言うと、山頂まで頑張って見ようと言う、ここまできたのだから山頂に行かないと悔いが残ります。

シラビソの針葉樹林の中だが、意外と明るい、編笠山の右を巻いて下る、左は三ッ頭、正面に富士山(かなりぼんやりしてきた)を眺めながら下る、再び登り返す(ちょっぴりです)辺りから展望は無くなり、なかなか押手川分岐に着かない、と気になってきた頃、林の中が広くなり、まもなく見たことのある光景が現れ、押手川分岐山梨の森林100選:編笠山の原生林」に着く。

押手川分岐からシラビソ、シャクナゲの多い道をひたすら下る、涸れ沢のようなところで石が多く足への負担が大きく注意した、雲海展望台に着くと昨日八ケ岳に観光、ホテルに泊まり10時頃出て、ここまで登り富士山の美しさに感動のご夫婦、これだけ見えれば最高の風景、でも朝のドラマや編笠山山頂での美しさを話すと、次回は早朝来たいと言う、京都から年に一度来られると言うご夫婦、今日の富士山には大満足。

もう一つのビューポイントで富士山を眺めたときは、長い裾野はほとんど見えなくなってきた、まもなく駐車場、4,50台は止められる駐車場は満杯になっている、小淵沢IC前を通過し国道20号へ、長野県(諏訪)方向に曲がりすぐ道の駅、日帰り温泉「蔦木の湯」につかって疲れを流す、地元で生産された新鮮な野菜が人気、駐車場は満席だが風呂は思ったほど混んではいませんでした、美しい展望の一日の最後の温泉は心地よい。

国道20号、清里からの国道141号の合流、国道52号交差点が渋滞、甲府市から大月間はスイスイ、しかし、中央高速相模湖ICから降り国道412号へ抜ける車が多くこの間が大渋滞(いつもの事)、国道412号の交差点を過ぎると何時も何故かスイスイ、中央高速は大渋滞が続いていました。

編笠山をまた訪問するなら、この空気の澄んだ今の時期が良い、シャクナゲの多さには驚きで花期にも訪れてみたいものです、この花の時期には権現岳も登ってみましょう。

八ケ岳公園ラインは観音台へ向かう入山道路、またこの道路は小淵沢から清里まで続く展望ドライブコース、特に天女山(標高2529b)や八ケ岳牧場周辺は富士山の展望が良く、多くのカメラマンが集まってくる、正月の初日の出を富士展望と同時に楽しめる所です、登山道としては天女山入口から三ッ頭(標高2580b)経由で権現岳へのルートも人気らしい。


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