展望とお花を求めて 八ケ岳
硫黄岳(標高2760b)横岳(標高2829b)赤岳(標高2899b)

 

日程:20076910日(土・日) 晴れ・雨・曇り

 ここを訪れたのは9年前の1998年の8月、今回は友人を誘ってツクモグサとホテイランを見に行ってきました、天候は悪天候になってしまい富士山から南・中央・北アルプスの展望はまったく望めませんでしたが、お目当てのお花を観賞する間は一粒の雨も降らず、美しく可憐なお花に出会えました。
 
また、東京から単独の女性(硫黄岳から赤岳鉱泉に下り所から同行)、展望荘でお会いした関西の二人の男性、佐野市からの20人の団体、地蔵尾根でホテイランを探しながら下った静岡のご夫婦(見付かってホットしましたね)らと大勢の人々に出会えて楽しい登山でした。

 


ツクモグサ   


ホテイラン

コース

前夜常磐線牛久駅21:56=(JR常磐線&中央線)⇒1:15中央線大月駅=(中央高速)⇒事故のため甲府南IC=(国道20号)⇒富士見町=(八ケ岳ズームライン)⇒美濃戸口バス停=(林道)⇒3:40赤岳山荘駐車場(仮眠)4:30

1日目赤岳山荘駐車場(仮眠)4:30―(0:05)→ショートカット4:40―(0:40)→堰堤広場5:20―(0:10)→林道終点5:30―(0:25)→巻道分岐5:55―(0:30)→五個目の橋6:25―(0:05)→七個目の橋(木製)6:30―(0:05)→八個目の橋(巻道合流)6:35―(0:15)→6:50赤岳鉱泉7:00―(0:10)→大同心登山口7:10―(0:05)→ジョウゴ沢出合7:15―(0:30)→梯子7:40―(1:15)→赤岩ノ頭8:55―(0:15)→硫黄岳山頂9:10―(0:10)→9:20硫黄岳山荘10:20―(1:00)→横岳:奥ノ院11:40―(0:40)→三又峰12:20―(0:05)→大権現12:25―(0:15)→下降点12:40―(0:20)→石尊岩13:00―(0:45)→地蔵仏13:45―(0:05)→13:50赤岳展望荘(泊)

 第2日目赤岳展望荘7:10―(0:30)→7:40赤岳山頂7:50―(0:30)→8:20赤岳展望荘8:30―(0:05)→地蔵仏8:35―(0:50)→9:25行者小屋9:40―(0:25)→広い河原10:05―(0:01)→南沢出合10:06―(0:24)→巨岩と美滝10:30―(0:05)→丸太の橋10:35―(0:10)→美しいコケの床・二本の沢合流点10:45―(0:15)→岩の登山道11:00―(0:50)→ホテイラン生息地11:50―(0:02)→アルミの橋11:55―(0:00)→美濃戸山荘11:55―(0:01)→11:56赤岳山荘12:40=(八ケ岳ズームライン)⇒諏訪南IC=(中央高速)⇒14:35JR大月駅14:48=(中央線)⇒都心へ   西国分寺から武蔵野線で新松戸17:05 常磐線は激しい雷で大混乱で数時間ストップしており、運行開始になった。常磐線牛久駅16:00着でした。

 

 八ケ岳を歩く場合、美濃戸口から入って北沢を経て赤岳鉱泉、硫黄岳に登って横岳を越え、地蔵仏を通過し標高2899bの赤岳へ登って、行者小屋に下山し、今度は南沢に沿って、北沢との合流点赤岳山荘駐車場に戻るこのコースは何度歩いても変化があり新鮮である。

  今回は友人をお誘いし、ツクモグサ、オヤマノエンドウ、ホテイランとの出遭いを楽しみに登ってみました、土曜日は80%、日曜日は40%の降水確率、先週登った七ヶ岳の時は異常な快晴でしたが!

  大月駅で待つ友人、東京発大月行き1:10着(豊田駅から大月駅間の最終)が約10分ほど遅れる、最終電車は接続等で遅れるのが常識!

  中央高速に乗るが、甲府南IC先が通行止め、渋滞に巻き込まれないで甲府南ICで降り、国道35820号で富士見の諏訪南IC入口まで走る、八ケ岳ズームラインに入り、直ぐに諏訪南ICを通過、八ケ岳中央高原を通過し、富士見原茅野線を左折し、案内に従がえば、美濃戸口バス停は直ぐである、バス停の奥に直進と左折の分岐、硫黄岳・美濃戸山荘・赤岳山荘は狭い左折の道に入る、歩けば約1時間、乗用車でも底を付く事は無いだろう、もちろん、安全運転が条件ですが、ただ林道に入り柳川を渡る前後が荒れている、ここを過ぎれば安定する。

  赤岳山荘駐車場50台程、山荘の前にトイレ有り)で仮眠、4時山荘の入口へ、八歳の賢いワンちゃんが吠え、奥に引返し、奥さんを呼んでくれる、駐車料金一泊二日2,000円。

 第一日目 お月さんが見え、空はとても80%の降水確率ではない!足元は明るいのでスタートする、駐車場の右横で北沢・南沢が合流している、その左上の橋を渡る、この先は美濃戸山荘を利用する人のみ車で入ることが可能、美濃戸山荘は直ぐ、ここで北沢と南沢コースが分岐しちる、大きな案内図も建っている。

  ここは左折する林道を登って行く、砂利道の林道歩きが始まって、左右美しい樹林帯、道端にスミレが咲き誇る、右の斜面に一輪だけ付けたツバメオモトを見付ける。

  林道の左側を注意して行くと、林道歩きをショートカットする登山道が丸太の先に続いている、樹林帯に入ると、大きな岩の道、溝状の所も有り、沢状でお薦めできない、でも数分で林道に再び合流する。

  二本の大木の下に小さな祠が祭られている、まもなく広い堰堤広場に出る、振向くと入笠山方面が望める、この直ぐ先で沢沿いの道とこのまま林道で行く選択ポイント、ここはこのまま林道を行く、黄色いスミレ「キバナノコマノツメ」が多く現れる、山小屋従業員の駐車場がある、さらに緩く登れば林道終点になる。激しく流れる北沢を渡る橋に片足を乗せた友人が指を指す!


お前らこんなに早く、うるさいぞ! カモシカのお出迎え

  その指先を見ると、大きなカモシカが、こちらを眺めている。5:30

  橋を渡れば本格的登山道、沢が洪水時利用する登山道が巻道で右に登っている、ここは北沢沿いの登山道を行く、カモシカに出遭った橋を一本目として、二本目5:55 三つ目 6:05 四つ目6:15 五つ目6:25 六つ目で稜線が見えて大同心が迫力です、七つ目は丸太の橋、八つ目6:35 ここで巻道が合流する。


北沢に架けられている橋

  九つ目 6:45 を過ぎて傾斜を登れば、赤岳鉱泉に到着、トイレをお借りする。

  小屋のベンチは静かだ、そこにご夫婦「天候が悪いからこの先は断念!」と言う、奥さんは見に行きたいご様子なので「硫黄岳山荘のホームページにツクモグサは咲き出したと報告、登れば必ず出遭えますよ!」と告げて、私達はジョウゴ沢出合まで歩を進める。暗い樹林を過ぎると大同心・小同心が見え、大同心入口がある、さらに先はちょっと下る、ジョウゴ沢出合、ここで朝食、さきほどまで青空がのぞき阿弥陀岳が雄大に見えていたのに突如雲が出てきた、赤岳展望荘に着くまで降らなければ良いのに!

  赤岳鉱泉で別れたご夫婦が登って来る、奥様ニッコリ笑顔を見せ私達を今度は抜いて行く、再会は硫黄岳山荘まで無かった。

  ジョウゴ沢、硫黄岳から阿弥陀岳の馬蹄形の水を「じょうご」のように集めるのだろう、ここを訪れた前回は真夏、今日はやっと春が来た、そんな新緑の一歩手前の光景です。7:15

  ここから急坂がはじまる、針葉樹林のジグザグ登山道、雨が落ちてくる、即雨具を着用、梯子を登る、7:40 ちょっと傾斜が緩むところで残雪、シャーベット状でアイゼンは不要です、慣れない登山道の雪道は友人を苦しめる、決して楽しいものではない。日の当るところは融け、暗いところは残雪の繰り返し、今回のコースで一番辛いところ。

  ようやく、森林限界、阿弥陀岳から赤岳、馬蹄形に硫黄岳まで見事な稜線展望のはず、赤岩ノ頭(標高2656b)には残雪、特に歩行が困難ではない、硫黄岳に登って行くご夫婦の姿が見える、友人が着くと眼下に登って来た谷が一瞬ガスから姿を現す。

左から桜平から夏沢鉱泉、オーレン小屋を経て峰ノ松目(南八ケ岳の展望台)を越え、下ってくる登山道が合流、稜線の登山道には雪はない、三又峰から地蔵仏へ向かう下りに残雪があっただけです。ただ、この時季油断は禁物です、気温が氷点下を切るとたちまちアイスバーンになる、浅い積雪ほど危ない!

雨は激しくなって、吹きつける、広々とした赤岩ノ頭は風の通過には適している、ここで、1人の女性が硫黄岳から下ってくる、桜平から入り夕べオーレン小屋に泊まってここまで来たが、この雨、下山を決意したと言う。

「ツクモグサを見に行きましょう、これから展望荘まで行くから!」と挨拶、特にくに強く誘った訳ではないが、ここまで来てこの雨の中を赤岳鉱泉に下るか、とりあえず硫黄岳を越えれば家庭的な山小屋「硫黄岳山荘」が有る、と判断すれば激しい雨でも、下るよりガスの中に見える硫黄岳山荘へ向かう方が賢い選択。

硫黄岳の広い山頂、岩が広く敷かれた平坦地、火山跡を覗き込むがガスで良く見えない、夏沢峠に下ると言う人が数人、どうやら彼女と同じコースを取った人のようだ。

岩礫の中を下る、ガスが深いけれど展望が望めないだけで、ケルンに頼って進むような事は無く方向は大丈夫です、硫黄岳山荘も見え、まもなく「風の通り道」の大ダルミ、真夏ならコマクサが微笑んでいる所だ、前回は暑くてここでお昼ねでした。

今日は昼寝どころではない、硫黄岳山荘に飛び込む、先行したご夫婦も無事、暖かいコーヒーを飲み元気を取り戻す。既に横岳を往復してツクモグサを観賞した登山者「とても可愛い花です!」と話題の中心である。

硫黄岳山荘のストーブに炎があがり冷たい手足を乾かし、外を覗くとすっかり雨は止んでいる、「雨が止んだよ、出かけよう!」と外に飛び出す、小屋は登山道の下、駒草神社が祭られ、ここは一面コマクサが咲く、保護区域になっており、ロープが張られている。


硫黄岳がガスから姿を現す

  火山の跡、岩が多い斜面を登る、台座ノ頭を巻き、登り切ると、目の前に大同心がその凄みを見せてくれる。


大同心

 これで雨が止み、晴れの方向に向かう期待が生まれる、青空はほんの一瞬で全てがガスの中に、でも横岳を経て赤岳展望荘に到着するまで雨は止んでくれた。


コメバツガザクラ

 稜線の岩にコメバツガザクラが可愛い花を沢山付けている、登山道の右は大同心側だが岩場でコメバツガザクラ、左側の斜面はハイマツ帯で今にも開花しそうなキバナシャクナゲが大きく膨らんでいる。

 同行の彼女はあまり高山植物への思いはないようだ、一方私は遭いたいツクモグサを探しながらキョロキョロ、有った、一個目はウラシマツツジ帯の直ぐ脇にポツンと一輪、これを見た彼女も流石感激、次々と現れるツクモグサを見ながら横岳への核心部へと進む、横岳直下の40bの鎖、一段落すると直角の梯子、その先に横たわる桟道と梯子が待っている。


ハクサンイチゲ

 その桟道と切れ落ちる谷の淵にハクサンイチゲが咲く、梯子に気にしていると見逃すでしょう、私達は見逃さない。梯子を登ると狭い尾根、右に鎖があって心配は無い、左はハイマツが待っているから谷に落ちてしまう事はないだろう。

  標高2829bの横岳、ここから三叉峰までの右の斜面がツクモグサの生育地、奥ノ院の次が大権現、三叉峰から下る右の岩に咲くツクモグサが岩の間に生え逞しい。

  続いて、岩の斜面をトラバース、この上部にツクモグサが多い、


オヤマノエンドウ

探していたオヤマノエンドウを友人が「これは何!」と見付ける、とても朗らかな花で素敵です。

いきなり稜線から登山道は右の岩礫を下る、巨岩の石尊峰を巻くためである、510bと鎖が続き、石尊峰真下で登り返す、足の長い彼女だが一歩を大幅に取り危ない、ここは着実に一歩一歩が大切。続いて一枚岩の下り、ここに積雪、一枚岩を隠すが何時滑り落ちるか解らない恐さがある、雪が無い時は鎖が便りです、ここを通過すると後は地蔵ノ頭との鞍部、ちょっと登り返すと可愛い地蔵仏が待っている、ここで無事を祈って地蔵仏に感謝、数分で赤岳展望荘に到着。雨が落ちてきた。

展望荘、団体は一組(栃木県佐野市から)、同室には関西から来られた男性二人、硫黄岳からの彼女は一人部屋、全員で50人ほど。夕食は山菜料理中心のバイキング!

明日は晴れるのか、夕方激しい雨、その後雪になる。

第二日目 4時外は雨だ、朝食は6時、こんな日は早めにスタートする人はいない、昨夜の面々が集う、佐野の団体さん、6:50スタートで赤岳山頂へ、7時前関西の男性二人は硫黄岳へ、隣りの女性は地蔵仏から下って行く。

友人の準備をまって、小屋を出る、今日は阿弥陀岳は中止、小屋に荷物を置き、カメラだけ携帯し赤岳山頂へ、鎖が置かれ問題は無いが、岩が崩れ落ちるので、下部を歩く人には最大の注意が必要で、けして下を歩く人の上側を通過しないように気をつけたい、団体さんがスタートしてから充分間を取っておりお互い気を使う事は無い。

15分ほど鎖場が続き、5分ほど稜線歩き細い尾根、信州側の岩には昨夜の雪、一部岩を越える箇所、そして最後の登りで赤岳頂上小屋に着く。


佐野市の団体さん 赤岳山頂

小屋から山頂を見る、佐野市の団体さん、カラフルな雨具で花が咲いたようである、標高2899b赤岳山頂に立てば、視界ゼロでも大満足、友人にあの美しい雲海に浮ぶ霊峰富士山を見ていただけないのが真に残念である、一言「また、登れば良いよ!山は決して逃げないから!」と。

二人だけ残った静かな山頂を下る、有人の足は今日は絶好調のようである、昨日は睡眠不足(運転手だった)。

赤岳展望荘に下って、荷物を背負い、地蔵仏へ、数人の登山者が登って来る、先行するご夫婦に着いて地蔵尾根を下る、前回二人の娘と下ったコースです、急斜面に取り付き鎖、梯子、桟道の連続、途中残雪、アイゼンは不要、寒波が強いと危ない所です、ツクモグサを観賞に登る時季、アイゼンは用意した方が良い。

やがて行者小屋が見える、樹林に入ると残雪が多く、ツルツル危ない!ようやく明るい行者小屋の庭に着く、静岡から来られたご夫婦に「ホテイラン」が咲いていることを伝え、探してみようとお誘いする。「南沢の岩場に咲いている」との情報だけ、難しい課題である。


美しい南沢

行者小屋から、枯れた河原を下って行く、やがて樹林に吸い込まれ、まだまだ残雪、樹林帯を抜け再び広い河原に出る。直ぐの南沢に入り、10:10 沢に沿って、下り続ける、ホテイランは現れない。

  美しい滝が次々と現れる、この水は釜無川に流れ出し、甲府で奥秩父から流れ出す笛吹川と合流し富士川となって大平洋に流れ出す、甲斐の国を豊にする源である。

  時には大きく沢から離れるが、何時のまにか沢を横切っている、10:30 巨岩の二つの間を流れ落ちる滝、この後、丸太の橋、この辺り足が止まる美しい渓谷、続いて10:40 壊れてきた橋、登山道を挟んで沢と反対側の樹林の斜面にはコケに覆われた岩群が現れ見事、その岩の上に地蔵がポツリ立っている。

 今度は二本の沢が合流する地点、ここにも美滝が姿を見せる、ツバメオモト(会津地方よりずっと小粒)やエンレイソウ、キバナノコマノツメが次々と現れる。

 沢から離れ、11:15 登山道に大きな岩がころがって歩き難いところが続く、ここを通過し再び南沢、水量が増え、流れも速く見事、11:40 岸で休憩、「ホテイランまだですね」とご夫婦、11:50

 そんなご夫婦「ほらここに!」、待望のホテイラン、初めての出合、言葉で言い表せないが「神秘的な妖精」であろう、多くを語らずじっと見つめたいものである。


最初で最後のアルミ橋

ホテイランの生育地を後にし、樹林帯の平坦な登山道をのんびり進むと、アルミの橋、ここを渡ると堰堤の上に出る、その堰堤を越えると見慣れた光景、美濃戸山荘の前に出る、北沢と南沢コースの合流点。


ナルコユリ

赤岳山荘駐車場に到着、ここは南沢と北沢が合流、静岡のご夫婦とお別れ、ニコニコ笑顔で友人もホテイランの写真を写し満足で到着する。

赤岳山荘で昼食、12時発 諏訪南ICから高速に入り、JR大月駅14:35着友人とはここでお別れ、特別快速東京行きが14:48発、立川駅(15:37着)で西国分寺駅に停まる電車に乗換える、武蔵野線新松戸駅17:05、常磐線は数時間雷の影響で運転見合わせ、やっと動き出したという、常磐線牛久駅には18:00着でした。

   HP:わたしの天気予報