北アルプスの活火山  焼岳  (標高2455b 南峰2455、北峰2393
中ノ湯バス停から登って上高地へ下る

 

日程2005910日(土)晴れ  


焼岳中腹から霞沢岳  眼下は上高地大正池付近

コース

JR新宿駅23:54=(ムーンライト信州81号)⇒4:32松本駅4:45=(松本電鉄鉄道線)⇒5:08新島々駅5:20=(松本電鉄バス)⇒6:15中ノ湯(上高地に6:30着途中下車)6:23―(0:02)―>焼岳登山口6:25―(0:20)―>樹林帯の尾根6:45―(0:45)―>急登の涸沢取付き7:30―(0:15)―>りんどう平(第二ベンチ)7:45―(0:15)―>再び涸沢8:00―(0:05)―>涸沢終わり8:05―(0:10)―>中ノ湯分岐8:15―(0:15)―>下堀沢の縁9:00―(0:30)―>焼岳南峰・北峰のコル9:30―(0:10)―>9:40北峰の焼岳山頂10:00―(0:10)―>10:10展望の良い中間ピーク10:45―(0:01)―>中尾峠(中尾温泉分岐の鞍部)10:46―(0:04)―>10:50展望台小ピーク11:00―(0:05)―>焼岳山荘11:05―(0:15)―>直角の梯子11:20―(0:10)―>5連続の短い梯子11:30―(0:10)―>巨岩(ヒカリコケ)11:40―(0:00)―>市販の梯子11:40―(0:05)―>眼下に峠沢11:45―(0:20)―>涸沢出合12:05―(0:15)―>水量の多い沢12:19―(0:01)―>焼岳登山口:林道出合12:20―(0:40)―>河童橋12:50―(0:05)―>12:55上高地バスターミナル13:20=(松本電鉄バス)⇒14:20新島々14:48=(松本電鉄鉄道線)⇒15:17松本駅15:33=(中央本線)⇒17:02小淵沢17:06=(中央本線)⇒17:49甲府駅18:08=(中央本線)⇒19:41高尾駅19:46=(中央線快速)⇒20:41神田駅
松本電鉄:上高地発18:05JR松本駅着19:57が最終、この最終に乗れば松本駅発20:02 スーパーあずさに乗ると新宿駅22:37

 

北アルプス唯一の活火山とのこと、大正池を作ったのが1915年の噴火で以後何度か繰し、現在は大きな活動も無く安定していると言う。先週:日光男体山、先々週は日光白根山と火山の山を登っており、焼岳はとても興味のある山ですね。

9月上旬の北アルプスは、日の出5:20頃/日の入18:20頃、日の出が4時台の期間なら車の利用が必要だが、上高地に6:30頃着くの電車とバスでも充分。

新宿発ムーンライト信州81号、今日は満席、その多くは北アルプスへの登山者である、松本駅に定刻4:32、その多くの登山者が降り、三両編成の松本電鉄新島々行きはほぼ満席、まだ暗い4:45発 窓から北アルプスの山々の展望を期待するが進行方向がその山々で良く見えないが、朝日に照らされ始めた山々は美しい。

新島々で松本から上高地の往復切符4,400円を購入、5:20発のバスは2台、一台目は満員。島々バス停で二人の登山者が降りる、バス内の案内放送によると徳本峠まで8時間。そして沢渡バス停からは二台目に登山者が多く乗り込んでくる。

水力発電のダムを眺め、紅葉時期には美しい所である。まもなく安房トンネル手前の信号を渡って直ぐの釜トンネルの入口、中ノ湯バス停私の他二人が降りる茶店が一軒、トイレ(何か購入するかお礼が必要)をお借りする、お店のおじさんが登山道の様子を聞かせてくれる、時々熊が現れるとのこと「あわてて逃げず、相手の目を見て静かにしている」のが一番らしい。「山頂まで約4時間、、」とのこと。

中ノ湯温泉側からの登山コースは、私達が降りた「中ノ湯バス停」と、このバス停から一時間半ほど登った「中ノ湯温泉」からのコースが有る、団体バスツアーで焼岳に登る場合は中ノ湯温泉までバスで入るのが一般的だそうです。古い地図には中ノ湯バス停のコースだけ、新しい地図には中ノ湯バス停からのコースは点線になっているようです、できるなら第一ベンチ・第二ベンチを登る旧道を歩く事をお薦めします。特に新緑・紅葉時期は美しい。


登山口

一度国道158号に戻って、梓川を渡り、左の斜面に注意して行くと古い「焼岳登山口」の道標、激しく水が流れ出ている所だ、登山道取付は「え!ここを登るのと」と驚く様な細い坂道、10bほど上がるとガレ場でその沢を横切る。水場はこの後上高地まで無い、その後は良く草も刈られ実に快適な登山道になる、これでは熊も出てはこないだろう、傾斜は厳しい、鉄製の防砂壁が幾つも置かれた谷を抜けると尾根状になって、登山口から続く樹林は美しく紅葉狩りは楽しみであろう。

 音色の良い鈴を鳴らす、ご夫婦を抜き、国道158号から30分傾斜が緩む、斜面の林床は葉の大きい見事な笹に覆われ思わず見とれる所だ、大木のブナが現れブナ林が続く、登山道は緩やかにトラバース。右に90度折れると再び傾斜を増し尾根状、この辺りになって針葉樹林が多くなる。

一部溝状のところもあるが、登山道は実に安定。第一ベンチは気付かずに過ぎる。ダケカンバが多くなって涸沢状の急登、滝のような段差、石にはコケが生え最近水が流れた跡は見当たらない、綱を頼って登り切ると深い樹林帯を抜け、だいぶ明るくなってくる。7:35

 
左:シラタマノキ(白玉の木) ツツジ科      右:コケモモ(苔桃)はツツジ科
花が少ないと言うが!

 
左:ヤマハハコ(山母子) キク科         右:ネバリノギラン(粘り芒蘭) ユリ科
ちょっとヤブ道だが?

背の高い笹に囲まれているが、登山道の幅は広く問題は無いが、足元は涸沢で歩き難い、10分程涸沢を登るとシラタマノキ(サロメチールの匂い)が密集。登山道は平坦になって、相変わらず笹に囲まれ、急に開け、りんどう平(第二ベンチ 7:45 に到着。焼岳が見えてくる、リンドウも咲いているが多くはない。

 
左:ネバリノギラン(粘り芒蘭) ユリ科              右:ミヤマコウゾリナ(深山顔剃菜、深山髪剃菜)キク科
これって近くの湿原に有るね!

細いダケカンバの林に入り、初めて下る、今度は涸れ沢を登るようになる、ここもコケが生え水に流れた跡は無い、ゴロゴロ石で歩き難く、笹に囲まれ見通しが無くこのコース一番の悪路。 8:05 沢から離れ樹林帯を抜け霞沢岳(標高2646b)が大きく見えてくる、台地状の尾根に出る。前方には明神岳と前穂高岳が雲の中から姿を現す。

 
秋の雰囲気がプンプン

ナナカマドが目立つが、赤い実を沢山付けている木は一本だけと寂しい。緩やかに登ると中ノ湯温泉から登って来る登山道が合流する。聞くと中ノ湯側からの登山者は中ノ湯バス停より中ノ湯温泉からの人が多いのだそうです。そこから潅木帯に入って、下堀沢(水は流れていない)の縁に飛出る。穂高連峰が素晴らしい、振向くと乗鞍岳、前方を見上げると焼岳南峰・北峰のコルへ続く、美しい笹の斜面が望める、この斜面を登ることになる。

ここからは、大きな岩が転がる、急斜面を登り続ける、シラタマノキが良く目立ち群生を作っている。ネバリノギラン(先をつまむと強い粘りがある)やオオヤマリンドウが目に付き、登るに従ってオヤマソバ、ウラジロタデ、オンタデが多くなって、草木が少なくなるとシラタマノキの大群落。

登山道は南峰と北峰のコルに向かってジグザグと登る、右に北峰、その下部にガスが吹き出ておりその匂いが強くなってくる、吹き出る音がゴウゴウと聞こえている。


中ノ湯温泉から往復の登山者

今朝5時に中ノ湯温泉から登った団体が早くも下ってくるが、彼らの登った時刻はガスに包まれまったく展望は無かったようである、聞くと団体ツアーの多くは中ノ湯温泉からの往復との事で、温泉登山が中心の様で、既に思いは温泉にあるようです。同時に霞沢岳方向のガスが切れ、登っている斜面から南峰裾野が一面笹に覆われ綺麗である。


神秘的な火口湖

北・南峰のコルにようやくたどり着く。正面に神秘的なコバルトブルーの火口湖がガスに中から姿を現す。南峰は左、右に折れ、ガスの吹き出す口付近に上がって見る、ガスの吹き出口は純黄色の硫黄色で数bでも熱い。登山道に戻って峰をトラバースすると北峰の分岐、左に折れ最後の岩場を登る、ここにもガスが吹き出て凄い、流石が活火山であり、何時噴火しても不思議ではないと言えよう。焼岳北峰山頂に到着。ガスで展望は無いが眼下に火口湖が美しい。


焼岳北峰のガス噴出し口に近づく男性

北峰の分岐に戻って、焼岳山荘方向へ下る、10:00 ザレの急斜面、登って来る人が多く落石に注意したい所だ、草木が無い火山の斜面は砂礫で歩き難い。

 
この辺り活火山の気分がプンプン

ジグザグに下ってゆく、思った以上に急坂で逆コースを選ばずホットして下る。所々ガス(水蒸気)が噴出す、自然の創造物は凄い、涸れた沢を横切って尾根状の斜面に立つと、山頂から10分程下った位置で、突然前方のガスが切れ、素晴らしい展望が広がる。

ガスが深く、穂高連峰の展望は駄目かと思いひたすら山小屋を目指していただけに、心躍る思いだ、山頂からの下った最初の中腹ピークで展望を楽しみながら、昼食。これから西穂山荘に向かうご夫婦もここで休憩。このピークは八合目。


穂高連峰と明神岳

真正面に見える穂高連峰、その右奥には常念岳と蝶ヶ岳の稜線、手前の上高地を挟んで霞沢岳、霞沢岳は上高地から片道約6時間とのこと、この写真からも解るとおり穂高の展望は凄いだろう、日帰り可能だ、近い将来登って見たい山である。

穂高の手前には西穂山荘、割谷山を経て焼岳に続く稜線が実に美しい、その稜線の左の斜面を昇る新穂高ロープウェイが見える、新穂高温泉の奥に雄大な笠ヶ岳から双六岳に続く稜線は雲が覆い眺められないが、新穂高温泉から突き上げる雄大な姿は見事である。

大きく下って、中尾峠、数分上り返し展望台、この展望台へ登る斜面の岩陰から熱い水蒸気が吹き出ている、この小さなピークも火山活動で盛り上がったものだろう。この小ピークの展望台は上高地、霞沢岳の展望は素晴らしいが、穂高連峰の展望は焼岳には敵わない。


イワオトギリ(岩弟切)オトギリソウ科

展望台から笹に覆われた登山道を下ると新中尾峠の分岐で焼岳山荘に下る、山荘は山間に建ち、庭先のベンチで登山者が食事中。真直ぐ細い登山道を緩やかに越えると山荘の谷間から出て、急斜面を下る、細い登山道をジグザグに下る、ここも笹に覆われ、右は焼岳からの険しい斜面、見上げると、先ほど穂高連峰の展望を楽しんだ小さなピークより上部から山頂までが雲の中、先ほど別れたご夫婦がまだ休憩中のご様子。


こんな所に長い梯子 落ちないように!

霞沢岳と明神岳を眺めながら、一方焼岳は見上げながら、10分程下ると、巨岩の間を抜けた所に直角に置かれた長い梯子が現れる、小屋まで荷揚げをする男性「あと数回梯子が有りますが、危険はここだけ」とのこと。梯子を下って見上げると屏風岩、さらに下り続けると今度は一本一本が短いが5連続、この辺りは急勾配が続き、道も荒れている、その先で古い長い梯子、ここを下ると急勾配から開放、樹林帯に入り薄暗く、足元はぬかる、巨岩の岩が登山道に現れる。

 
左:ヒメアカバナ(姫赤花)アカバナ科           右:ダイモンジソウ(大文字草)ユキノシタ科
これって○○だよ!

この巨岩の岩の横に回って底を覗くとなんと、ヒカリゴケ、見る角度を変えるとキラキラ光る不思議なものである、通りすがりの二人の男性に教え、確認。

 
峠沢ガレ場

直ぐに市販の梯子、峠沢を眼下に見るガレ場、峠沢は水無しで焼岳の山頂へと延びている。再び深い樹林に入る、登山道は平坦で山頂からの急降下の足には優しく、ノンビリ歩きたい所だ。左に沢の音、まもなく涸れ沢に出合う、さっきの水の音はこの沢では無いようだ。涸れ沢を離れると登山道は、一段と美しい樹林帯に入り、水量の多い沢に出合い(上高地側から登る場合ここが最後の水場)、汗を流す、この辺り無風状態で汗が吹き出る所で有りがたい沢です。


ノコンギク (野紺菊) キク科
秋の花

沢から焼岳登山口、林道は近い。この林道は工事用道路、左に折れ、飽きるほど長い平坦な林道歩きになるが、ケショウヤナギ等の樹林の間から霞沢岳が覗き、観光客が遊ぶ梓川で見え、帝国ホテル分岐、田代橋を渡って帝国ホテルを経由するとバスセンターの方が河童橋の手前になるが、上高地に立寄ったら河童橋から穂高連峰を眺めて帰りたい。



川底で遊ぶ

右に折れず真直ぐ、二軒ほどホテルの前を通過しウェストン碑の前を通過すると、穂高連峰が見え、観光客で賑わう河童橋。梓川の流れは何時も綺麗だ、今日もカモの親子が愛嬌を見せ、人気の的である。


河童橋の上から穂高連峰を望む

見慣れた穂高連峰だが、何時見ても新鮮な眺めです。


どん出るバスだが、上手く乗らないと、松本駅に着きません?

河童橋から数分、上高地バスターミナルは近い、松本電鉄の窓口で予約券を発行してもらう。乗車券が有れば、乗りたいバスの発車時刻を告げ、当日か明日の予約券がもらえシステム。予約の発車時刻の10分前にターミナルに集ると、改札時番号を呼んでくれ、番号順に乗る、その場にいないと、パスされ、再度予約が必要になってくる。ただ今回は中ノ湯で降りたので予約券が心配だったが、まだ早い時刻で空いていたらしい。

発車10分前、係りの人が番号で客を呼ぶ、満席のバスは大正池ホテルの前で止まる、ここからの乗客は補助イス、直ぐに右に焼岳が見えてくる、焼岳・大正池・上高地は火山の噴火が縁で結ばれており、観光客や登山者はその縁で出来上がった美しい自然の恵みを楽しんでいる。道路沿いに猿が現れる、車窓から餌を与える人が絶えないことにある。道路は空いており定刻に新島々、バスの乗客はそのまま、電車の乗客と変身。

時間の許す限り、松本からローカル線に乗る事にしている、特に諏訪から甲府間の山岳の眺めが良く。今日は有柳・すずらんの里・富士見・信濃境・小淵沢などからの南アルプスからの日の入り光景、富士山のシルエット姿を見て通過。特に青柳からの入笠山、富士見からの甲斐駒ケ岳・鳳凰三山は素晴らしい。

小淵沢を過ぎると富士山も大きく見えていました

勿論、長坂から竜王間も良いが乗客が多くなってカメラを出すのはちょっと心配だし、暗くなって景色も良くありませんでした。

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