石尾根・長沢背稜縦走   雲取山(標高2017b)

三ノ木戸山(さぬきどやま,標高1177b)六ツ石山(むついしやま,標高1479b)鷹ノ巣山(標高1737b)
七ツ石山(標高1757b)小雲取山(標高1937b)
芋ノ木ドッケ(いものきどっけ、芋木ノドッケ、標高1946b)長沢山(標高1738b)
水松山(あららぎやま、標高1699b)酉谷山(とりたにやま、標高1718b)三ツドッケ(標高1576b)

 

日程 2005123031  2日とも快晴続き


雲取山山頂が見えてきた

コース

前日つくば市からJR青梅駅周辺の駐車場

一日目「石尾根:つくば市22:00=(国道16号・国道号411)⇒1:00JR青梅線奥多摩駅5:30―(0:30)―>羽黒神社6:00―(0:30)―>登山口6:30―(0:15)―>梅林・尾根に出る6:45―(0:15)―>三ノ木戸分岐7:00―(1:20)―>三ノ木戸山分岐8:20―(0:05)―>三ノ木戸山8:25―(0:05)―>石尾根合流8:30―(0:10)―>三ノ木戸林道へ下る道分岐8:40―(0:25)―>尾根道分岐(狩倉山への道)9:05―(0:10)―>狩倉山からの道合流9:15―(0:05)―>小さな祠9:20―(0:01)―>六ッ石山肩・石尾根分岐9:21―(0:04)―>9:25六ツ石山山頂9:34―(0:01)―>石尾根分岐9:35―(0:10)―>鞍部9:45―(0:30)―>下の水根沢・戸倉山分岐10:25―(0:35)―>11:00上の水根沢・戸倉山分岐11:10―(0:10)―>尾根道分岐・尾根コースへ11:10―(0:05)―>一つ目のピーク11:15―(0:20)―>11:35鷹ノ巣山山頂11:45―(0:15)―>浅間尾根・稲村岩尾根分岐12:00―(0:00)―>巳ノ戸ノ大クビレ12:00―(0:20)―>崩れ地通過12:20―(0:10)―>岩群12:30―(0:10)―>高丸山・日陰名栗峰の鞍部12:40―(0:15)―>高丸山鞍部12:55―(0:15)―>峰谷分岐13:10―(0:05)―>展望のガレ場13:15―(0:10)―>七ツ石小屋分岐13:25―(0:10)―>鴨沢・七ツ石小屋分岐13:35―(0:20)―>13:50七ツ石山山頂13:55―(0:10)―>鴨沢分岐14:05―(0:30)―>へリーポート14:35―(0:05)―>奥多摩小屋14:40―(0:00)―>分岐(巻道を選択)14:40―(0:05)―>分岐(尾根道を選択)14:45―(0:30)―>富田新道分岐・小雲取山15:15―(0:20)―>15:35雲取山避難小屋15:39―(0:01)―>15:40雲取山山頂15:45―(0:05)―>田部重冶レリーフ分岐15:50―(0:10)―>16:00雲取山荘

二日目「長沢背稜雲取山荘6:30―(0:05)―>尾根道分岐(尾根道を選択)6:35―(0:05)―>大ダワ:雲取山1.7`・三峰口9.0`  6:40―(0:10)―>コメツガ:雲取山2.2`・三峰口8.5` 6:50―(0:20)―>三峰口・長沢背稜分岐7:10―(0:30)―>芋木ノ(芋ノ木)ドッケ7:40―(0:02)―>三峰口分岐7:42―(0:18)―>ヤケトノ頭辺り8:00―(0:40)―>桂谷ノ頭辺り8:40―(0:20)―>長沢山9:00―(0:20)―>広い鞍部9:20―(0:20)―>水松山辺り9:40―(0:15)―>天租山登山道合流9:55―(0:35)―>大曲り10:30―(0:10)―>崩れ地点10:40―(0:10)―>大曲り10:50―(0:15)―>酉谷山登り口11:05―(0:10)―>尾根11:15―(0:15)―>酉谷山の肩11:35―(0:25)―>11:40酉谷山山頂12:00―(0:10)―>下り坂取付12:10―(0:00)―>酉谷避難小屋・長沢背稜分岐12:10―(0:50)―>七跳(ななはね)尾根分岐13:00―(0:30)―>13:30大栗尾根・ハナド岩13:45―(0:15)―>三ツドッケ登り口14:00―(0:10)―>14:10二つ目のピーク:三ツドッケ山頂14:15―(0:05)―>鞍部14:20―(0:05)―>最後のピーク14:25―(0:05)―>14:30一杯水避難小屋14:40―(0:25)―>滝入ノ峰辺り15:05―(0:15)―>左杉林・右ブナ林の長い下りに入る15:20―(0:20)―>道標で左に折れ、急降下開始地点15:40―(0:10)―>鉄の柵右折地点15:50―(0:10)―>民家16:00―(0:10)―>16:10東日原バス停16:17=(バス)⇒17:10
休日運転で東日原発の午後便は【14:3013:5016:1717:2218:55

家を出るときは、30,31,1,2日と奥秩父主脈縦走を予定、雲取山荘に着いて、年末に例年登ってくる人の話や1日からの天気予報を判断し、下山は長沢背稜と決める。
雲取山荘は16人のお客は全て男性、小屋の話ですと男性ばかりの日は珍しい事だという。

今回歩いた石尾根長沢背稜の歩行時間は両コースとも約10時間。長沢背稜は山深い変化の多いコース、一方、石尾根は展望と個性のあるピークを越え、変化に富んだロングコースでコースのグレードは長沢背稜より落ちるが、楽しさは一ランク上であると言われている。
 
この二つのコース、年末時期の登山報告を最後まで読んでください、きっと未だ歩いていない貴方はきっと何時かこのコースを楽しむことになるでしょう、そんな魅力タップリのコースです。
それにしても2006年正月は天候が悪くなりました、箱根マラソンも寒い雪、二つのロングコースは快晴、予想以上の大展望に大満足でした。

石尾根早朝、奥多摩駅の駐車場に車を停め5:30暗い中を歩き始める。暗くなる前に雲取山荘に入りたい、雲取山山頂で富士山!。奥多摩駅前から国道411号に出て、交差点を右折し、氷川大橋を渡る、直ぐに日原街道入口、東日原行きのバスはここを右折する所だ。ここは国道411号を直進すると、まもなく大きな案内版が立って、六ツ石山・鷹ノ巣山・雲取山への矢印を見る、右折し民家の間を登る、急坂です。直ぐに奥多摩の町並みが望め、大岳山や御岳山方向の山々が暗がりに浮かび上がる。道路を左・左と登ると、頭上に橋が見え、六ツ石山・鷹ノ巣山・雲取山への道標が有って左折、数b地点で登山口を見つける、さきほど見上げた狭い橋を渡って行く、雑木林に囲まれ明かりが入らず、ヘッドランプを点ける。

急登を頑張って登ると鳥居の前に出て、暗くて未確認ですが、羽黒神社、神社は想像より小さい、裏(左右どちらかでも)に回って登り詰めると5,6分で車道に出ます、ここは左折し車道を緩やかに登る、直ぐにもっと広い車道に飛出る、ここは右折し民家の裏に出る、民家の先は展望が良い。

なお、緩やかに車道を行くと二分、ここには雲取山への道標がある、不老線で川乗橋方向に伸びている。左に数10b行くと、登山道取付き点石尾根のスタート地点である。

大岳山方向の展望が良い、心地よい登りが続き、ちょっと荒れた梅林を巻くように登って行く。尾根らしくなって、直ぐにヒノキの植林に入り込む、古く壊れた小屋が数個目に付く、林床が荒れており東京都の管理では無いらしい。小さな鳥居が登山道脇に建っている。


ようやく日の出 石尾根の夜明け

三ノ木戸(さぬきど)へ下る道が分かれる、ちょうど7時のサイレンが聞こえる。北側の斜面に出る、川乗橋方向側。杉林から抜けた辺りで、太陽がようやく御岳山と川苔山の間から昇り、木々を赤く染める。

大きく左折、落葉が深く積もって足を取られる程、ようやく尾根らしい登山道、左右に奥多摩の山々が見える、右は蕎麦粒山・川苔山、左は奥多摩三山の三頭山・御前山・大岳山。時々平坦になるが、辛い登りが続く、前方に大きなピークが見える、左が三ノ木戸山で右奥が狩倉山(不老山)らしい、さらに登り続けると、御前山が立派に見える、まだ奥多摩湖は見えない、ブナ林の美しい広場に出る、ここでちょっと休憩。

今度は急坂、三頭山が見えてくる、長い登りが続き、鹿の夫婦に出会う、彼らはいとも簡単に登って行く、ヒノキ林に入り、展望の無い登りがしばらく続く。


富士山が頭を見せてくれる  (^_^)/おはよー!」

石尾根縦走路は右に大きく曲がる、直進する登山道が前方の峰に薄い足跡で続いている、この道は三ノ木戸山山頂へ登っている、5,6分で三ノ木戸山と書かれた名板が木に取り付けられた山頂に着く、展望は無い。


三ノ木戸山山頂

山頂から平坦にさっき別れた石尾根縦走路が向った方向にちょっと行くと、簡単な東屋があって、続いて左が大きく開け三頭山の奥に富士山が姿を現す。しばらくカヤト状の広い空き地を進むと、岩場になって、岩場を下ると、石尾根縦走路が右から合流する。この合流点から富士山は見えない、従がってこの辺りは三ノ木戸山に立寄らないと富士山は見えないことになる。


石尾根 三ノ木戸山を通過し、六ツ石山へ向う

次の山は左斜面を通過し巻く、プロムナード、奥多摩湖の水根から六ツ石山へ直登する尾根が見える、ここで三ノ木戸林道へ下る道を見送る。この後六ツ石山まで急登が続くが、大きな松が立ち、展望は素晴らしい。一つのピークを越えるとまた急坂が待っている。六ツ石山は標高1405bの御前山より高いが、まだまだ御前山の方が高い、ため息の出る辛い急登、ここの傾斜は石尾根で一番大きい。

ようやく、狩倉山への登り口、ここは左の巻き道を選択、5分程で狩倉山経由の尾根道コースと合流。ここでようやく平坦になってホット一息つける所だ。ただヒノキ林で展望は無い、足元には薄い積雪。


六ツ石山山頂

六ツ石山登り分岐、石尾根を離れ雪道を急登すれば、六ツ石山山頂に飛出る。左に富士山、正面に石尾根が幾つもの峰々を経て雲取山まで一望できる、まだ登山者の姿は無い。水根へ下るコースが富士山方向に下っている。石尾根に登って来た道を引き返す。


日陰は積雪!

  分岐で大きく左折し、六ツ石山の北側斜面を緩く下る、雪道。小鳥が多くさえずり、カラマツ林の好ましい鞍部に着く。ここで下山者に会う、奥多摩駅から誰にも会わず、今日始めての人である、この時間だと何処に泊まったのかな、男女二人連れ。

  緩やかに登って右折、この辺りが将門馬場、城山だろうか、続いて鷹ノ巣山尾根道が分岐、ここは尾根道を避け、斜面を巻いて行くコースを選択、10:05 富士山が美しい。城山・水根山が北風を防ぎ温かい、プロムナード。ブナ林が美しい、道はほぼ水平。左眼下に奥多摩湖、その向こうに御前山が見事だ。


水根沢・戸倉山分岐

  水根沢・戸倉山分岐 10:25 ここで右に急登、登ると富士山と三頭山が美しい。しばらくプロムナードの平坦な道を歩いた為か、とても辛い登りだ、また、上の水根沢・戸倉山分岐、雲取山荘を今朝出発したと言う、日焼けした女性が降りてくる「鷹ノ巣山は直ぐよ、山頂から雲取山まで数時間」と笑顔で石尾根を使って奥多摩駅へ下ると言い残し元気に下って行く。


尾根道分岐・尾根コースへ

  水源林道を少し行くと直ぐ水根山からの尾根道に合流、防火帯で広い道に出る、鷹ノ巣山山頂は後30分ほど先、一つのピークに立つと、素晴らしい展望、富士山が見事、右には大菩薩、手前左には奥多摩三山。遠望は大山、良く目立ち、その右に丹沢山塊が富士山方向に延びている。急登を頑張れば、鷹ノ巣山山頂に到着。丸みのある鷹ノ巣山山頂は広く、転がっている石に腰を下ろし、展望を楽しむ。特に富士山は見事に尽きる。


富士山 鷹ノ巣山山頂から

  富士山の前衛には右から雁ガ腹摺山、その続きが滝子山、滝子山と富士山の間の双耳は三ッ峠、そして左に御正体山と続く。雁ガ腹摺山の右から小金沢連嶺が大菩薩嶺に長々と続く。そして大菩薩嶺の右奥に南アルプスが遠望できる。

日陰名栗峰、高丸山か七ツ石山を経て雲取山へ続く縦走路は石尾根のハイライトだ、その峰々と富士山、大菩薩、南アルプスを眺めながら、積雪の傾斜を下る、大きな一本の松からの富士山は美しい。峰谷から浅間尾根を登った親子に出会う。


鷹ノ巣山避難小屋

下ると再び水源林道に合流し、鷹ノ巣山避難小屋、綺麗なトイレも有る。小屋は樹林に覆われ、少し下った所が広く、巳ノ戸の大クビレ、登山道は真直ぐ日陰名栗峰を経て高丸山へと続くが、その尾根道を登らず左にコースを取る。展望は無いが樹林の美しいコース、この辺り積雪も無く静かだ。


岩群

崩れた場所を通過し、奇妙な岩群を見る、この先で七ツ石山が前方向に見えてくる、三頭山は左後方にだいぶ遠くなってきた、この辺りツツジが茂っている、まもなく、巻いてきた日陰名栗峰と高丸山の鞍部の脇に出る。富士山が見え、すぐ先でまた樹林帯に入る。

カラマツ林を過ぎると今度は高丸山の鞍部、この先が千本ツツジだが、ここも巻いて行く、その千本ツツジの下部を通過、ここに峰谷コースが登ってきている、千本ツツジへの登り道も有る。

    展望の良い道が続く、大岳山・富士山・七ツ石山が見事だ、プロムナード。鴨沢から登ってくる尾根も見事。まもなく展望が大きく開けガレ場を通過。この先で尾根道と合流。七ツ石小屋分岐、登って行くと再び鴨沢・七ツ石小屋分岐を見送ると、道の真ん中に斧手石(おのていし)が現れる。急坂を登ると鳥居、ここの神社(七ツ石神社)は巨岩を背負っている感じ、神社の裏の斜面には巨岩が幾つも有る。急登を登れば七ツ石山山頂に到着。展望は抜群、今日も期待を裏切らない。南アルプス、大菩薩連峰、雄大な富士山、そして奥多摩三山。

   七ツ石山からの下り、誰しも思うところ、もったいない下りである、雪が多く滑る、ブナ坂、鞍部に着く、ここは唐松谷林道と鴨沢からの登山道が合流する十字路。鴨沢から重い荷物を担いだ男性、今夜はテント泊。ブナ坂から大きく開けた防火帯の道、登るに従がって展望がグングン良くなって、疲れが吹っ飛んでしまう、奥多摩駅から長い道のりで疲れているのに足は意外と元気、まもなくヘリポートに着く、五十人平と呼ばれ広い所、振向いて見ると七ツ石山とようやく標高が同じくらい、下って上り返した訳である。


富田新道分岐・小雲取山辺り ここまで登れば!

そして尾根道の北側に雲取奥多摩小屋が建っている、人の気配は無く静か。小屋の直ぐ先で登山道は尾根道と巻き道に二分、ここは巻き道を選択、稜線から別れて雪道、5,6分で再び尾根道は合流、この辺りコメツガが美しい。直ぐ尾根道と巻き道分岐、巻道は富田新道に向かっている、ここは尾根道の方が明らかに展望が良さそうなので、尾根道を選択。急坂が続く、ガレ場に出るとカラマツ越しに富士山がとても美しい。この辛いガレ場を登り切ると富田新道分岐、展望は素晴らしい。

  もー直ぐ先に雲取山山頂、雲取山避難小屋がポツンと見えている、ここが小雲取山の肩。雲取山までは石尾根仕上げのプロムナード、雲取山の人気のスポットと言って良い、雲取山荘への巻道を見送って、最後の登り、頂上直下の急登、雪道、数回カーブを切って雲取山避難小屋の前に着く、富士山展望は一級品、南アルプス・奥秩父、丹沢、奥多摩の峰々が大パノラマで広がる。振り返ると広い防火帯の道筋が延々と続いている、苦しい登りも後数分で雲取山山頂である。小屋の後に回って、深い積雪、良く踏まれテカテカの道を数10b歩めば三角点の雲取山山頂に到着。北側は樹林に覆われるが、隣の飛龍山(標高2077b)、唐松尾山(標高2109b)と続き、並んで和名倉山(標高2036b)等の山容は大きい、そして両神山、その奥に見えるはずの浅間山は雪雲に覆われ見ることはできない。


富士山   雲取山山頂(避難小屋の裏から)

  後は雲取山荘に下れば良い、表側と違って荒れた急坂、木々の根が頼りだ、今夜は雲取山避難小屋に泊まるのだろうか、二人の男性が重い荷を背負って登って来る、まもなく田部重冶レリーフの分岐を見送る、深い樹林の向こうに屋根が見え、ここが雲取山荘である、広い庭に飛出る。


夕暮れに間に合った雲取山荘

丁度16:00 奥多摩駅から約10時間、なんとか真っ暗にならない内に到着。暖かいストーブが部屋を暖め迎えてくれる。

  今日は男性ばかり16人、女性客無し、何時もの華やかさは無いが、雲取山を愛する男だけの山小屋も楽しいものである。部屋に入るとコタツ、ぬくもりが冷えたつま先を暖めてくれる。廊下には山の様に積まれた書籍。雲取山に咲く高山植物の見事な写真、山容の美しい写真と雲取山を充分紹介されている。

夕食は18時、時間前、今日の出来事や明日の予定で盛り上がる。鴨沢・三峰口間を歩く人がほとんど。明日31日の天気は良さそうだが1日以降は期待できない、最初は静かに聞き耳を立てていた男性「長沢背稜は面白い、明日の朝ここを早めに出れば東日原の最終便に充分間に合う、但し、小川谷林道の二時間歩きが、、」と言う、「長沢背稜はシャクナゲが綺麗だそうでその頃、、」と言うと、小屋の主人新井さんが「そんなに多くないよ、この時期の長沢背稜は良いよ」と言う。

長沢背稜朝、快晴、6時朝食、6時半雲取山荘を出る、もちろん、長沢背稜へ向う。数分で尾根道分岐、昨夜三峰口コースを登って今日下山の男性が追いつき、二人で尾根道に入る。小さなピーク(標高1803bの独標)を越えると雲取ヒュッテ、ここはかつて新井さんが営んでいた小屋だという、ぼろぼろであり使えない。ジグザグに下れば巻道が合流し、大ダワに降り着く。今日一番楽に下るのはここから大ダワ林道を下ることだ、雲取山1.7`―三峰口9.0`地点。前方の峰を巻いてゆっくり登る、コメツガが美しい樹林が続く、大きなタケカンバとコメツガの脇を通過する7:00 振向くと雲取山が見え、急坂になる三峰口に向った男性の姿はもう見えない。


今日も晴れそうな予感

石尾根の後方から日が登る、周辺の木々が赤く染まる。急登を登り出すと直ぐに三峰口と芋ノ木ドッケとの分岐、三峰口は左に下っている、ここは右に折れ、急坂をよじ登る。

木々の間からであり写真撮影は自由にならないが、和名倉山から甲武信ヶ岳へ続く峰々が巨大な姿で迫って圧巻。コメツガが見事なピーク、まだまだ急登は続く、北風がこれでもかと吹き付ける、寒い、登るに毎に展望は拡大、奥秩父の山々の奥に真っ白い巨峰が並ぶ南アルプスが見えてくる。


芋ノ木ドッケ山頂直下から 南アルプスを望む

ようやく、芋ノ木ドッケ山頂に到着。コメツガに覆われ展望は無い、林床は白銀の世界。平坦な道を進むと三峰口分岐、倒れ木が多い、分岐を右に折れると石尾根・丹沢連峰が良く見える、すこし下るが平坦になり、コメツガの中を進む。尾根の左は寒い、右に出るとポカポ。富士山が見えないかと探しながら行くと、小さなピークにさしかかる、10b程の間だが富士山が美しく姿を見せる。

短いが急降下、狭い尾根になってシャクナゲが始めて現れる、時々独特の峰を連なる両神山が見える、右奥に見える白い姿は未確認だが方向から浅間山だろう。

大きく下ると、この辺りでは日だまりの鞍部、大木の枯木が立っている、ちょっと広く休憩に良い。朝小屋で分けてもらったペットボトルの水が凍り付いている。


富士山が顔を出す!

今度はシャクナゲに飾られるピーを越える、確かに金峰山・瑞牆山・甲武信ヶ岳・飛龍山で見た群落に比べると驚くほどの大群落ではない。両神山がどんどん大きく見えるようになる。この先のピークもシャクナゲが多い、この辺りがヤケトノ頭から桂谷ノ頭であろう。昨夜酉谷避難小屋に泊まった男性に会う。


長沢山山頂  ここは長沢背稜です!

今度は登り返しの急登、ようやく長沢山山頂。展望は良くない、10b程先で日当たりの良好な休憩点が有る。さらに下ると富士山が良く見えるポイントに出る。なおも下り続けると次の峰との鞍部、前方の峰の左を巻きながら上り下り、人の足跡か鹿か明確ではないがそれに従がう、この鞍部までほとんど尾根上のコース、ここにきて、尾根から大きく外れているので、ちょっと不安になるが、ブナ林は見事、鞍部から約20分で巻道が終わって、広い林、広々とした所に飛出る。この辺りは石尾根の鹿の群れより多くの鹿が歩いている。ちょっと小ピークを越え、十字路(鹿の足跡)になっている、ここは真直ぐ進む。右に折れると天租山からの道の合流点に出たかも知れない。道は両側の尾根道に囲まれた谷のような道が続く。


積雪! 日陰は辛い

巻いたピーク(おそらく水松山(あららぎやま))の先で、天租山(てんそさん)から登って来る登山道に合流する。逆方向から来るとここで右に曲がる道には気付かず道なりに「天租山からの道の合流点」に向かうだろう。


日が当たるとポカポカ

この辺りに来ると両神山は進行方向左手になっている。天租山は石灰採掘されて痛々しい、だが、この山の奥に美しい富士山がのぞいているのでホットする。


再び富士山がお供してくれる

長沢背稜は美しい水源林道である、富士山が天租山に隠され見えない位置でタワ尾根ノ頭を巻いている辺りだろう、一度尾根に出て、大きなブナを横に見て右方向に緩やかに登る、今度は雲取山が天租山の右奥に、富士山は左肩に見えてくる。大きく左に曲がる(地図上にも大きなカーブが記されている)。

左に折れると前方に大きな峰が幾つも見えてくる、一番手前が酉谷山の様だ。道が崩れてすっかり消えている箇所を通過、石尾根から長沢背稜を歩いてヒヤッとした所はここだけ。その次の沢も崩れそう。大岳山が見えてくる、その左に三角錐の御岳山(鍋割山かな)も見える。大木のカーブをまた左に大きく曲がる、鹿が激しい声をたて駆け上る、ここは長沢背稜の中でも一番ブナ林が美しいところだ。行福(みょうふく)ノタオと呼ばれる鞍部、小さなピーク、巨岩の下を巻き、左折、尾根に近い道になって、まもなく酉谷山への道標が立っている。11:05


美しいブナ林が続く

ここも美しいブナ林、最初は緩やかに尾根に向う、大木のブナが並び、雲取山から石尾根が見渡せる、一度平坦になって、急な坂を登って行く、途中で立派な富士山が見える、まだ肩の位置で、さらに急登を登り切って酉谷山山頂に到着。


酉谷山山頂辺りから

11:40 長沢山から2時間半である。

展望は期待を裏切らない、富士山方向は大きな木が伸びてはいるが、山頂から離れれば立派。そして奥多摩の山々の主峰が見え、特に石尾根に並ぶ山々、三頭山・御前山・大岳山の奥多摩三山、さらにその奥に丹沢連峰、大山、仏果(ぶっか)山と脈々と続く。北側は良く見えない。


下り坂取付

標高1718b、長沢山の標高1738bよりちょっと少ないが長沢背稜一番の大展望、酉谷山から一杯避難小屋を目指す、しばらく緩やかに下って、平坦な尾根道を進むと、秩父の山々が見える。まもなく右に折れ尾根から離れ、5bほど下ると十字路、酉谷峠、直進の下り道が酉谷山避難小屋へ、右が酉谷山を巻いて長沢山方向、左に折れ水源林道を一杯水避難小屋を目指す。尾根に出ると木の間から武甲山、小持山、大持山が良く見え、秩父の町も見えている。

日向谷ノ頭は巻いて行く、富士山を眺め、右に下る道がある、鹿の道ではないようだ、巻道が時々尾根に出ると武甲山が近くなる、やや登り、再び雲取山が大きく見え、富士山が六ツ石山右肩に見えるようになって石尾根が良く見える、コンパ尾根、七跳(ななはね)山下、アセビが現れ、何度も稜線に出る、少し下って登り返すとハナト岩入口、数b入ると180度大展望、正面に富士山、手前に雲取山からスタートし奥多摩駅に延びる石尾根の峰々が素晴らしい。足元には日原川の谷が奥多摩の峰々へと切れ込んで凄い、今夜酉谷避難小屋に泊まるという男性がやって来る、秋の小川谷林道は特に印象的だという。


小川谷を覗く ハナト岩から

林道に戻って、ほぼ平坦な道をどんどん一杯水避難小屋を目指す、三ツドッケ入口の道標はハナト岩から15分、直ぐである、14:00


道標に従う

笹が顔に当るほどの深さ、但し道は明瞭、一度ピークを過ぎ、また登り帰す、大きな岩の横を通過し、二つ目のピークが三ツドッケ山頂14:10 。素晴らしい富士山が望める。今夜一杯水避難小屋に泊まってご来光をここで眺めたら最高であろう。急降下して、大きな岩を横切って、続いて岩場を登れば三つ目のピーク、数個峰を越えるが山頂のような展望は期待できない。


三ツドッケ山頂から  石尾根と富士山

最後のピーク 14:25から急降下、笹に囲まれ道が二つに分岐しているが直ぐに合流、尾根道のブナ林の美しい急坂を下れば一杯水避難小屋の裏に出る。


一杯水避難小屋へ下る

一杯水避難小屋側からの三ツドッケアタックはキツイ、逆からでしたのでホットする。14:40

小屋からもー下るだけ、これから西谷避難小屋に向う人「東日原から2時間20分を要した」と言う、従がってのんびり下っても2時間は掛からない。直ぐに凄いアセビのトンネルを抜ける、この後ブナ、ミズナラの美しい樹林のプロムナード、奥多摩の深い山容を充分に味わえるところだ、広いヨコスズ尾根の背をしばらく下って、谷の反対側に鷹ノ巣山がせまってくる、ここまで来ると無風状態、左に蕎麦粒山と川苔山の稜線が見えてくると、滝入ノ峰手前の岩場を登り、雲取山の最後の眺め楽しみ、滝入ノ峰の川乗山側(東面)面の出入りの多い道をからんで行く、左は倉沢谷に落ち込み足を滑らせないように緩やかに下る、途中左にルートを見るが踏み跡は無い。


アセビのトンネル ヨコスズ尾根

蕎麦粒山、川苔山、大岳山を見て、15:20 左杉・右雑木林の長い傾斜道に入る、展望は全く無い、崩れ地通過、飽きてくる頃両側が杉林になり終わりかと思うが、再度同じ斜面の道が続く。左の杉林がようやく切れ大岳山が見える。


ここを降れば!

再度杉林になって、まもなく道標が立ち 15:40 ここから左に折れ、急降下が始まる。大きな岩の崩れ場を過ぎ、鉄柵を見て右に折れ、約10分の杉林ジグザグ急降下道に入る、16:00 部落最高部の民家の裏に着く、石段を下って、バスの笛の音「もしや発車目前か?」と見下ろすと乗務員の方の姿「何時発ですかと」上から声をかけると、「18分!」ドンピシャである。東日原バス停16:10着。水道水を口に含み乗り込む、乗客を4人乗せ定刻に出発。長い日原トンネル(隋道)を抜け、渓谷を眺め川乗橋バス停、ここの乗客は無し、次のバス停から男女若者が乗り込む、一人450円、奥多摩駅は近い。17:10奥多摩駅前に到着。奥多摩駅17:15の電車がある。

  国道411号、青梅街道はガラガラ、青梅から入間に出て国道16号、普段混む道も年末のせいかガラガラ。30から31日は奥多摩地区快晴、1日から2日は曇り時々雨、奥秩父の稜線はきっと雪になったであろう

予備知識

三条ノ湯から雲取山】車を利用しお祭りから後山林道を終点まで入れば日帰り可能だが奥多摩からバスでお祭りバス停へ、三条ノ湯に一泊し早朝雲取山を目指したい。三条ノ湯は深い山の雰囲気を充分味わえお薦めの温泉宿。下山は鴨沢石尾根を!

三峰口から雲取山】雲取山は東京・山梨・埼玉の県境、今日の年末登山者に尋ねると、三峰口と鴨沢間を歩いて雲取山を横断して行く人が多いようです、今回石尾根や長沢背稜を歩いたのは私だけ。聞くと意外と三峰口は交通の便が良いようです、秩父鉄道三峰口駅からバスで三峰ロープウェイ大輪駅、ロープウェイに乗って三峰山頂駅、徒歩約5時間半で雲取山荘、雲取山山頂へは小屋から30分。一方鴨沢からは奥多摩駅バスから鴨沢バス停へ、徒歩約4時間半で雲取山山頂。

 三峰山:妙法ガ岳(標高1332b)・白岩岳(標高1921b)・雲取山(標高2017b)の総称、白岩山に近い芋の木ドッケは標高1946b、霧藻ガ峰は標高1547b。

  お清平から白岩山辺りは石灰石植物のチチブミネバリ、イチョウシダが生育。この石灰石植物は三国峠から十文字峠の間の梓白岩、弁慶岩(花を穂のように付ける、ホツツジ)に多いそうです、十文字峠越えの時にでも立ち寄って見てきたいものです。

富田新道】小雲取山から東日原に下るコースで、展望は期待できないが、広葉樹・針葉樹の樹林が美しらしい、ので一度は歩いてみたいものです。日原川の深い渓谷も良さそう。

大ダワ林道】雲取山荘から20分で大ダワ、丁度雲取山と芋ノ木ドッケの中間、日原から雲取山へ向うコースでは良く歩かれていると言う、富田新道同様林道歩きが長いのが難点らしい。

天租山への道】今回石尾根&長沢背稜を歩いて気になったコースがここ。ここも起点は東日原、日原川を遡り、大ダワ、富田新道コースと同じく、登山道は採石場へ行く孫惣(まごそう)谷を見送り、八丁橋まで行き、この先に天租山表参道登山口、尾根に出ると孫惣谷の向こうにタワ尾根が見事で、更に登ると鷹ノ巣山と八丁山の眺めが良い。大日天神を過ぎ、登り詰めると天租山神社の社務所、この先が天租山山頂(標高1723b)。この先約1時間で長沢背稜に合流する。

小川谷林道】天租山から長沢背稜に合流したら、帰りは酉谷山経由で、この林道を下って見たい。酉谷山山頂は展望も良い、山頂から一杯水避難小屋方向に進み、酉谷峠を真直ぐ下れば酉谷避難小屋。喜右衛門坂(きえもんさか)を下って三又、なかなか面白そうな谷である。この後小川谷林道、なかなか美しい広葉樹林帯が有るという。カロー谷・滝上谷、、と面白そうな名の谷がある。最後は日原鍾乳洞の燕岩などの岩壁も見もの。バスの時刻は今回と同じ。

熊倉山】酉谷山の北側に熊倉山へのルートが有るが、今回、酉谷山から富士山側の展望が大変素晴らしく、気付かず過ぎてしまったのが残念。酉谷山から尾根で熊倉山に縦走可能で良くホームページで紹介されている、一般的には秩父側から登って三峰山、和名倉山などの展望を楽しみ、帰宅時温泉と言うパターンのようです。

最後に、芋ノ木ドッケか眺めた和名倉山(標高2036b)は凄い、近い内に唐松尾山と共に登ってみたいものである。

HP:わたしの天気予報